珍顧客対応シリーズ【奥さん、それダメですよ】



今から10年ちょっと前のお話です。

私はオートバイディーラーを東京都で3店舗経営する傍ら、埼玉県の秩父でオートバイミュージアムも運営していました。

ミュージアムでは、いろいろとイベントをして、年間5万人集客していました。


そして、自分のお店自ら、試乗会はあまりやりたくなかったんですが、そろそろやってみようかと思いオートバイディーラー部門の人材を使い、ミュージアムで試乗会をしました。

田舎の山道もあり、飛ばす人がいると思い危険なリスクも感じていたので、私が先導して張り切っていました。

天候にも恵まれて、大盛況でした。


ちょうど3時の休憩で、スタッフ達を休ませて、彼らにミュージアムを見学させました。

だから、試乗受付は私ひとりで十分だと思っていました。


そんな白昼、薄いピンクの革ジャンを着て現れた女性が受付に来ました。

いやー色っぽかったですよ。。。

こりゃ手強いなと直感しましたが、私もオトコなんで「ラッキー!」と思っちゃいましたねー

しかし、仕事中はいつもビジネスに徹している方なんで、すぐに切り替えて対応しました。


そしたら、この女性ライダーは試乗車の中でも一番高価なレーサータイプを試乗したいと言ってます。

私は大丈夫かなと思いましたが立場上、断れないので受付をしました。


試乗車の説明を簡単にして、アクセルを吹かして説明していたら

なんと。。。

私のアクセルを握っている手の上から被せるように、アクセルを吹かすんですよー

「奥さん、それダメですよー」と思いましたが、私はさりげなく手をよけて顔色ひとつ変えず「ご準備して下さい」と言いました。


私が先導して、15分くらいの試乗コースもなんなく、この女性は乗りこなし

無事終了しました。

最後に「ありがとうございました」となり目を合わせたら「ウルウル」していていたので

この人と二度と会ってはいけないと直感して作り笑いでクロージングしました。

しかも、住所は私の店舗からは遠方なのでお店には来ないだろうと確信していました。

だから、名前はもちろん個人情報なのでスルーしていましたし、すっかり記憶から消えていました。


そんなある日ですよー(6ヶ月後ぐらい。。。)

ある支店にいったら、その女性がショールームのテーブルに座っています。

そしてなぜか、あの時試乗したタイプのオートバイを乗ってるんです。

私は店長に聞いたら、先月買っていただきました。となっています。


私は切り替えて社長としての挨拶をしなければと思い

彼女に近寄り「この度はありがとうございます、秩父でご試乗されましたよねー」と言って

感謝を言いました。

そしたら彼女は「はあ?」と顔をしたので、

「あのースミマセン、私先導したんですけど覚えていらっしゃいますか〜?」と聞いたら

その女性は「そうでしたっけー」と切り替えしてきたんで

「奥さん、それダメですよー」とまた内心思いましたが、もちろん言わず、

私は「今後ともよろしくお願いします」と丁重に言って、逃げるようにして去りました。


社長という立場はつらいもので、こういう話は社員には何故かできません。

同じ社員同士なら面白おかしくネタになるんですが、社長というポジションだとこちらが砕けて言っても社員は真面目に聞くしかないんです。

だから、この「奥さん、それダメですよー」ネタはずっと封印して今回はじめてブログで書きました。